|
|
無題
雨すさびひと夜の明けぬ土に敷く百日紅(ひやくじつかう)に鉦叩き鳴き
はらはらと傘に散りくる萩の花露保(も)て咲けば露こぼしつつ
青空を仰ぎて咲けり紅芙蓉うす紅(くれなゐ)に朝日透かして
透く翅に光りを添へて流れたり吾が目(ま)のあたり飛ぶ鬼やんま
日を浴びて緋のいろ尽くす彼岸花明日は詣でむ父母の墓
後手を母とて見つるシーン消え涙とまらず若き姿に
和(にこ)やかに笑まひ顕ち来る母なれど幸せなりきや母の一世は
幾許を残す余生か知らざれど流し尽くさむこのせせらぎに
日の注ぐ駅前茶房の昼下がり憂さは差しおき友らと語る
帰らなと友の言ひ出づ百貨店(デパート)の五時のチャイムの茶房に聞こえ
|
|