|
|
ゆりさん:私の体調をご心配頂きありがとうございます。一時よりはかなり良くなっております。やはりトシが原因
なのかな・・と思っております。
さて、本題にもどりまして・・、私は抗精子抗体というものを疑問視しております。同様に考えている研究者も
多数いるようです。 しかしながら、やはり抗精子抗体はある・・と考えている学者や臨床医師も居られます。
問題は、個々の患者さんがはたして抗精子抗体を持っているかどうかを、正しく判定する確実な方法があるのか
どうかは疑わしいということです。私は現在は、確実に抗精子抗体を検出する検査方法はないと思っています。
一般に原因不妊妊娠の方の13%に抗精子抗体があると書かれていることが多いのですが、何を根拠にしたもの
かはよくわかりません。
抗精子抗体が有ると思われる妻の血液を採って、血漿を分けて、そこへ夫の精子を混ぜて運動性が落ちれば、抗
精子抗体陽性とする方法や、妻の血液に、人の精子の抗原をつけてあるビーズを混ぜて、ビーズが凝集すれば、
抗精子抗体陽性と判断する方法が主に行われているようですが、実際に性交後の体内で同じ事が起こっているか
どうかを確認した研究報告はないようです。
通常は性交後検査(ヒューナーテスト)で、頚管粘液に入り込んでいる精子が動いていない場合に、抗精子抗体
陽性を疑うのですが、本当にそのような抗体があるかどうかを、調べるとされている検査は、信頼し難い印象を
私はもっています。
現在、自費で抗精子抗体のチェックをすると広告している私的検査ラボはいくつもあるようですが、私は抗精子
抗体を重用視していませんので、お薦めしたことはありません。
もしも抗精子抗体陽性との結果がでれば、あとの治療法は体外受精しかありませんから、膨大な費用のかかる体
外受精をそのような確実性のはっきりしない検査結果でもって、判断する気にはならないからです。
体外受精をしている施設のサイトを見ますと、何らかの方法で抗精子抗体陽性との結果の出た方は、体外受精で
の妊娠率が高いとかいてあります。
確かに、受精卵になってしまえば、抗精子抗体も作用しませんから、妊娠率がたかくなっても不思議はないので
すが、日本産婦人科学会や日本不妊学会への投稿論文をみましても、抗精子抗体陽性だった人の体外受精での妊
娠成功率についての論文はほとんどないようです。
ということは、学会での論文の採否を決定する委員会の人たちは、やはり抗精子抗体陽性に関してはあまり信頼
をおいていないのではないか(つまり私と同じ考えではないか?)と私は思っています。
前にも書いたことがありますが、なかなか妊娠しにくいと思われていた方が、意外に治療中止期間に妊娠成立し
て診察に来られた場合、殆ど例外なく、性交頻度が高い方ばかりですので、頻繁な性交が抗精子抗体を陽性にす
るとは思いにくいのです。
あまり、学問的でないご返事で申し訳ありませんが、私の永年の治療経験からの勘と、少しばかりの偏見からの
ご返事です。
多分、何軒かの不妊治療施設を受信されても、貴女は抗精子抗体があるから、体外受精でなくては妊娠は無理
だ・・と断言出来る施設はないのではないかと私は思います。
「なかなか妊娠出来ないのであれば、抗精子抗体の関与の可能性のある「原因不明不妊」だから、体外受精をし
てみられてはいかがかと思います」という返事が一番誠実な返事ではないでしょうか?
|
|